2011年7月4日月曜日

Chi massaggia il manzo di Kobe?

今年5月末に出版されたばかり


先日の検診のこと。先生がいきなり「この間読んだ本でね」とこの本についてながながと話し始めました。神戸牛をマッサージするのは誰?というタイトルどおりの内容らしく、会議やミーティング、果てはちょっとしたパーティーなど人の集まるところで使える無難な、しかも実際にその物事に精通していなくても会話として成立させることのできるような気の効いた話題を集めたヒント集だとか。

つまり・・・それ自体には大した意味がなく、あの恐怖の沈黙の数秒間を瞬殺してくれる便利なフレーズ、ということだけど人とおしゃべりしてなんぼ、のイタリア人にとっては非常に重要。

先生も、こういうの学会とかに役立つんだよねー、と私の診察そっちのけでこの本がいかに無意味ながら有効かを説いてくれたのでした。

中身はシチュエーションや話題別になっていて、内容を一部載せているサイトを見つけたので、そこから引用すると・・・。

スポーツクラブ: 「スポーツクラブに異業種交流会的な目的で入会してるやつって、井戸端会議しにボッチェ(日本だとゲートボールが相当。老人の好きなスポーツ)に通う老人と大体同じってことだよね?」

空港:「フライト中一睡もせずに前を見ててもパイロットの助けにはならないよな」

ソーシャルネットワーク:「フェースブックから退会するって時代の先を行ってる感じだよね。一般人がこぞって行きだしたモルディブに金持ちはもう行かない、みたいなさ」

このほか、イタリアの政治系討論番組、リアリティショウを話題にしたものや(イタリア人はこの手の番組について話すのが大好き・・・)、結婚、本、芸術など本当に無難な話題まで幅広く扱っています。便利な一言には違いないけれど、ほんとに意味はありません。時にちょっと皮肉を利かせたフレーズになっていてそこに食いついてきてくれたら会話が広がるかも、という点はやっぱりイタリア社会での会話術・・・。

 ちなみに先生はその後、「トリノで神戸牛を食べられる場所ってあるの?」「うちの奥さんが日本に行って見たいって言っててね」「旅費ってどれくらい?」など、沈黙どころかしゃべるはしゃべるは。肝心の診察は5分程度で終了。この本、先生に必要あったのかなーとちょっと疑問を抱きながら診察室を後にしたのでした。

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