2008年6月8日日曜日

Il Divo カンヌ審査員賞受賞


大復活と銘打った手前、最近のニュースを。
最近と行っても少々トウが立ってきてますかね。
カンヌ映画祭で審査員賞を受賞した、ソレンティーノ監督のIl Divoです。

ソレンティーノ監督といえば、ずいぶん前にMTVのコマーシャルの合間にやっている映画のトレーラーを見て「これじゃ!」と見込んだLe conseguenze dell' amore(邦題「愛の果てへの旅」)が非常に気に入っていたので、受賞を聞いたときにはGomorraよりも、断然こちらのほうが気になったのでした。
しかも、主演も同じトニ・セルヴィッロ!
行かないわけがありません、私。

で、公開になった最初に金曜日に早速映画館へ。
週末の初回(20時台)って人いないor若年層少なし。
しかも、今回のIl Divoはバリバリ政治色の高いものなので、周りは白髪頭の人だらけでした。
けど気にしない気にしない。

主人公はトニ扮するアンドレオッティ。50年代よりイタリア政界の重鎮とされる彼を、まだ40前の若い監督が扱うには難易度の高いテーマだと思うのだけど、よく思い切りました。
アンドレオッティ…日本で言うと、田中角栄。もっとかな。
こちらはまだご存命というところも意味的にはずいぶん違うと思うし。

映画自体は、戦後のイタリア政界事件、マフィアとの癒着など暗い部分が中心。
これらの事件とアンドレオッティのかかわり、というのではなくて、戦後の政界の事件が全て彼につながっているのが前提というのが、日本の政治家の誰とも似ていないトコロかしら。
ただ、内容的には平均的イタリア人の認識、を映画に仕上げたというテイストで、特に新たな展開や説を出しているわけではありません。

だけどというか、だからというか、イタリアの近代史、政治が分からないとはっきり言って付いていくのは難しい!たとえるなら、矢作さんの「あ・じゃぱん」を外国人が読むくらいに難しい。て、私にもわかりませんでしたけどね、あ・じゃぱん。
時々出てくるアルド・モロなんて、知らなかったらただのジャージ姿のおっさんだもん。
私はどういうわけか、このモロ事件(当時のトップ政治家が極右翼グループに誘拐拉致され、殺害されるという80年代の事件)というのは興味があって、ちょっと知ってたけどサ。

主演のセルヴィッロ。
あの人を喰った演技がすきだなー。
いい俳優だ、と、余り演技のこととか分かりませんが、今回も思っちゃいました。
アンドレオッティ本人に似せなくちゃいけないので、所作の演技が過剰かというところも無きにしも非ずですが(確かに本人は今でもテレビには割とでているので、興ざめなぶぶんもあるかもしれない)、一度口を開くと非常に達者な切れ者であるところを窺わせる所作、「dio lo sa e anche io lo so」で締めくくられる長台詞がよかったです。

と、日本公開になったとしても集客率の悪そうな政治色一色の映画ですが、もし公開になったら、あるいは来年のイタリア映画サイあたりで上映するのであれば、この長台詞を聞きに行ってみてください。

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